【小学校の算数・教科書表紙】メイキング
パンタグラフのオブジェを教科書の表紙に採用したいということで
光栄ながらお声掛けいただきました。
教科書の表紙といえばストイックな平面構成図案が浮かんできますが
時代ごとにテイストも違うのでしょう。いろいろと話し合いを重ねましたが、
なんとなく全員の中にあったイメージは「子どもための日経パソコンオブジェシリーズ」。
子ども向けか! 楽だな! と思いきや、こ、こ、これは大人向けよりむしろ大変。
なかなか手強い相手ダゾ、子どもって。
表紙のオブジェはそれぞれの学年で習う、時計の読み方、かけ算、わり算、敷き詰め
などがテーマになっています。全部わかりますでしょうか。
INOUE
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まずはアイデア出し。本制作作業よりよっぽど時間をかけます。
どんなヘンな案も一応拾い上げておくのだよ。
「1」の立体フチドリオブジェを切り出します。
もちろん手でフリーハンドカット!
ときどき、完成と同じ構図で撮りながら、各所の大きさや
テイストを確認し進めます。
糸ノコで切り出し。
レーザーカットではできない、キレイな危うさがにじみ出ます。
小さなパーツ類。オジサンみたいなこと言いますが(充分オジサンですが)
学生のうち、駆け出しのうちは絶対に手で切った方がいいです。
パーツによって素材を使い分け。あくまで写真用のオブジェなんですね。
立体作品でなくて写真作品。
4年生のテーマは「敷き詰め」!
4という数字を見てたら「コ、コレは…! 敷き詰められる!」とひらめきました。
しかし、然うは問屋が卸さない。 ぜんぜんキレイにまとまりません。
手描きのラフって、自分に都合良く描いちゃうものなんだな…と思い知らされました。
でもすでに手描きのラフでプレゼンは済ませてあります。オレの中のエッシャー覚醒せよ!
と叫びながらシャーペンやマウスを走らせます。
“思いつき”から“実効的なアイデア”まではかくも大きな距離があるのです。
なんとか良いカタチにたどり着いて、さあ造形です。
たくさん必要なので、型取り複製しましょう。
プラ板を切り貼りして原型をつくりました。
シリコンの型をつくり、液体のキャストを流し込んで複製していきます。
手作りなのにあまりにもピッッッタンコすぎて驚く。感動です。
こっそりと自分を褒めます。本来、こういう同じカタチを組み合わせるものは
誤差も2倍になってしまうんですよネェ。
扱いやすい素材というのは、大きさにも関係しています。
これくらいのものはスタイロでいきましょう。
6の裏側。ぐんにゃり表現には、こんな金属板の秘密が。
ぐんにゃり度を調整中。
パンタグラフの最もキライなもの、それは色塗りです。
色計画を失敗して違う色を重ね塗りせざるを得ないケースが多い! 多過ぎる!
これからは新人イシカワに任せます。
乾燥中。エッジの角が落ちているのがポイント。
CGに近寄らないように気をつけます。
木目を描くのは本当は気が進まないのだが…
全体のテイストを合わせるためにもここは一発描き込んでみましょう。
うるさくならないよう、自然なカンジで。
美容師になった気分で仕上げて行きます。
造形ができあがっても安心できません!
撮影日の朝は、本当に大丈夫だろうかというモヤモヤの頂点を体験させられます。
裏表紙も含め、撮影は3日間に渡りました。猛暑も相まって合宿感、アリアリ!
みなさん、誠にお疲れさまでした。
こんな教科書だったら表紙ずっと眺めてます。
きっと。。。
コメントありがとうございます!
もうすぐ中学校の数学表紙も発表されます。
ぜひご覧くださいね。
[…] 2013年に制作した小学校の算数に続いて、今度は中学校の数学教科書のグラフィックを担当。短い期間でかなり幅広い案を出し、絞り込んでいきました。 […]